国力、国益を考えない連中が「安倍的なもの」を生み出し、日本をビッグモーター化させている【池田清彦×適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第45回 :『安倍晋三の正体』をめぐって(対談前編)【池田清彦×適菜収】
池田:そうですね。安倍が辞めて別の人間が自民党の総裁になっても基本構造は変わらない。根本が変わらないと。根本というのは、日本の大衆の心のインフラみたいなところが固定してしまいそこから抜け出せない。
適菜:だから総理が岸田文雄になっても変わらないですね。
池田:うん、まったく変わらない。
適菜:一部から総理候補と呼ばれる高市早苗や河野太郎、小泉進次郎みたいな連中も、恫喝体質、カルト体質、浅はかさ、無責任さ、強烈な自己愛など「安倍的なもの」を引きずっている感じがします。
池田:根本的な問題は、国民のためにという発想はハナからなくて、あるいは国力を上げるというパトスもなくなったこと。国力を上げようと国民も政治家も考えなくなったね。経団連の連中とか安倍の取り巻き連中は、国民は労働奴隷だと考えている。だからなるべく低賃金に抑えて搾取する。江戸時代の小作農みたいなものだね。生かさず殺さずという最低限の生活を強いて、上がった利益は日本国内ではなくて、外国に流す。大企業もそれで儲かるわけだから、その利益を自分たちと自分たちの取り巻きで分ける。そいつらだけが繁栄すれば問題はなく、残りの9割の国民は貧乏のどん底でもいいと思い始めたんじゃないかな。
適菜:グローバル企業にとっては国家の権限は障壁でしかありません。だから連中の下請けの政治家はひたすら規制緩和、構造改革路線をとる。彼らは公共や国家単位の道徳には関知しないわけですよね。安倍を保守だと思い込んでいるバカもいますが、安倍を支えてきたのは新自由主義勢力、経済団体、政商です。昔の自民党と今の自民党は別物です。先生のおっしゃるとおり、国力、国益を考えない連中が、自民党内に巣食うようになってしまいました。